株式投資で大切なのが、企業の動き。今回は「買収と株価の関係」がテーマです。
先日、ソフトバンク参加のYahoo!が、ファッション通販サイトの「ゾゾタウン」を運営するZOZOに対して、TOB(株式公開買付け)による買収をすると発表がありました。
最大で50.1%の株を取得し、買収額は最大で4,007億円になると言われています。
持っている株の企業が買収されたり、そういったニュースを見て買ってみようかなと触発されたりと、どうすればいいのかわからないもの。
本記事では、企業が買収されたときの株価への影響や値動き、また、保有していた株(企業)が買収されたときにどうすればいいのかなどを解説しながらアドバイスしていきます。
目次
買収するってどういうこと?買収のメリット!

買収する側のメリット
そもそも企業が企業を買収するのには、以下の理由や目的があります。
- 特定の技術や顧客などの資産価値を手に入れることができる
- 買収する企業の事業内容やブランド力により相乗効果が見込める
- 自社の弱い部分を補い、他者との優劣を図る(Yahoo!→Amazon/楽天)
- まだ参入していない事業の企業を買収して新規事業を始める
- 一時的に買収して企業価値を高め、後にさらに高く売るため
企業が買収を行うときには、上記で挙げた以外にもたくさん理由はあります。
ただ、大まかに見てもこれだけの理由があることから買収は正当な事業展開。株式投資を行ううえでは知っておきたい経済情報の一つですね。
買収される側のメリット
お互いが同意したうえでの友好的買収のメリットは以下のとおり。
- 事業継続と拡大が期待できる
- 後継者や人員不足を解消できる
- 経営難を迎えている場合に資金調達ができる
- 廃業するコストを抑えられる
基本的には、買収される側にも上記のようなメリットがあります。
もちろんどんな買収かにもよりますが、買収する側の企業が大きければそれだけ資金源もブランド力もあるので、事業が拡大できる可能性があります。
また、独自の技術や特許を持っているのに、資金が足りなくて経営難になっている企業にとっては、買収されることで事業を継続できたり、廃業を免れることができるという面もあるのです。
企業を買収するときのTOBとは?
TOBとは、“Take Over Bid(株式公開買付け)”の略称で、買収目的などで特定企業の株式をたくさん集めたいときに、あらかじめ「価格」「期間」「株数」を提示して公募し、市場外で直接買い付けることをいいます。
企業を買収するには、「経営権」を獲得するためにその企業の株を大量に集める必要があります。
私たちが株の売買を行うように、市場で買い付ける場合は、一度に獲得できる株式数に制限があることや、値動きの変動により買付額(コスト)が定まらないため、時間もお金もたくさんかかってしまいます。
しかし、TOBによる買付けであれば、一度に大量の株式を集めることができるうえに、価格指定なので買付額(コスト)にズレがありません。そのため、効率よく株式を集めることができます。
ある企業(A社)の買収をするぞ!
↓
経営権を獲得するために株を大量に集める必要がある
↓
市場で買うには一度に買える株に制限がある
値動きが激しくていくら必要かわからない…
↓
TOBだ!
↓
A社の株を持ってるみんな〜
いつ、いくらで買い取るから株を譲ってくれ〜
↓
買付け情報を公開する代わりに…
市場外ではなく直接買い付けるから、制限なしで一度にたくさん集められるぞ!
いくらで買付けるか決めてるからコストはこれくらいだな
↓
効率的にたくさん株が集まった!買収成功!
- 5%ルール:ある上場企業の株式のうち5%以上を取得する場合(少数の株主から買う場合は例外)
- 3分の1ルール:発行株式総数の3分の1を超える株を取得する場合(例外なし)
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買収される企業の株価はどうなる?
今回のように、Yahoo!がZOZOに株式の公開買い付けを行う(TOB)の場合は、不特定多数の保有者に対して株を売ってくれるように勧誘するため、市場株価よりも高い(プレミアム(利益)を上乗せした)価格で提示されます。
理由としては、既存株主にメリット(利益)がなければTOBに応じてもらえず、株式を買い集めることができないからです。
そのため、TOBがされる企業の株は人気が集まり、市場的にも株価が上昇しやすくなります。
ただし、TOBが途中で中止されたり、買収されても業績や成長期待度が薄ければ、株価は下がる可能性があるので注意が必要です。
TOBは確実に高い株価で売ることができるため、市場でいつ上がるか、下がるかもしれない心配をするより、より確実に儲けることができるのです。
買収する企業の株価は上がる?下がる?
一方で、買収する側の株価は上がるとも下がるとも言い切れません。
たしかに、買収にはする側・される側のどちらにも注目が集まりますが、結局のところ企業への期待度が株価を動かします。
今回のYahoo!とZOZOのように、お互いに事業拡大が期待できて、意味のある買収であると考えられるため、Yahoo!の株価は上昇しています。(2019年9月現在)
ただ、過去ソフトバンクがボーダフォンを買収したときには、負債や借り入れに対する不安も大きく、当時は株価が下がりました。
買収することで事業拡大や今後の成長などを評価されれば株価は上がり、逆に規模が大きすぎる買収で負債を抱えたり、買収による方向性が全く見えないなど、マイナス要因が多ければ株価は下がる傾向にあります。
保有している株(企業)が買収されたときの3つの選択肢
もしも自分の持っている株(企業)が買収されたときは、どうすればいいのか慌ててしまいますよね。株に詳しくないなら余計に不安になります。
しかし買収が起きたら、あわてたりせずに、まずはTOBによる買付け価格をチェックしましょう!
- TOBに応募し、当選したら株を売る
- TOBには応募せず、値上がりを見て市場で売る
- TOBには応募せず、そのまま株を保有する
株を売るか保有するかは、すぐに利益を得たいのであれば売る方向で考えてよいでしょう。
ただし、買収には株の”全部”と”一部”の買収の仕方があります。
買収したい企業の全株式を買い付ける場合は、TOB価格でもれなく売ることができます。
買収される株が一部(40%だけ買い付けるなど)の場合は、TOBに応じることができる数に限りがあるため、抽選となり、外れた場合は市場で売ることができません。
とはいえ、株価はTOBにつられて上がりやすくなります。買ったときよりも株価が高くなっていて、そのときに売れば差額分の利益を得ることができます。
また、TOBの買付けに申し込まずに、そのまま持ち続けるのも一つの手です。
前述したように、株価の変動は今後の事業展開や業績が伸びるかどうかなど、企業に対する期待度によって変化します。
買収により、あなたがこれからの成長を期待するのであれば、そのまま保有しておく方向で考えるとよいかもしれませんね。
買収による株価への影響についてのまとめ!
- 買収は企業の事業拡大や経営難の回避で行われる
- 買収にはTOBによる株の大量購入が必要
- 買収される株は上がりやすい
- 買収する側の株価は事業や業績次第
- 保有株が買収されたら儲けるチャンス!
買収による株価の動きとしてはリターンも大きいですが、不当な買収であれば株価は下落しリスクも大きくなります。
買収に目をつけて取引をする場合は、値動きする数値に惑わされず、買収の背景や買収企業の事業展開などに目を向けて冷静に判断することが大切です。
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